6歳にオススメな、モンテのエッセンス。2009/09/21 11:35

絵本についてレビューしたいと思いつつ、すっかり後回しになってましたが、とりあえず、モンテが6歳児に与えたいと思った文化的な興味の「種子」となるかもしれない絵本などを紹介します。

あと、厳密な意味でのモンテ法からは少し離れたとしても、現在の日本における、手に入れやすさ、扱いやすさ、値段などを考慮して、個人的にリーズナブルであると判断したものを紹介しています。

【地理】

『はじめてのにほんちずえほん』、てづか あけみ (イラスト)、赤澤豊 (監修) 、ピエブックス、2008、1890円

モンテ法では、シンプルな地図のパズルなどで地理に対する興味(というか、地図に対する慣れのような気もする)を引き出すようですが、「パズル」という幾何的な遊びを介さなくても(ピースを一つ残さず片付けて管理するのって面倒だし(^◇^;))、カラフルなイラストの入った地図絵本もなかなか魅力的です。はっきり言ってこのかわゆいイラストが気に入って購入しました!が、なかなかのすぐれもの。何がいいかと言えば、文字が少なく詳述に走らないので、暗記に流れない。絵を眺めてあれこれと連想するだけ。夜寝る前に「あ~温泉入りたいね~」とか「いとこたちはこのあたりに住んでるんだよ」とか「エルのおうちはこのへん。周りにはこんなものがあるんだね~今度行ってみようか?」などととりとめもなくしゃべっていると、眠くなることうけあい(笑)

【歴史】

『せいめいのれきし―地球上にせいめいがうまれたときからいままでのおはなし』、バージニア・リー・バートン (著)、 いしい ももこ (翻訳)、岩波書店、1964、1680円

モンテは「地質学的な基礎の歴史」について、子どもに提示する方法を語っています。類似した視点を、かのバージニア・リー・バートンも持っていたのか!とちょっと驚き。『ちいさいおうち』に感動した方には特にオススメです。とっつきやすいというわけではありませんが(むしろエルは最初怖がってなかなか自分では開かなかった)、大自然の成り立ちというものに対する畏怖感がありありとあふれる迫力ある絵に、大地創造に関する宗教的基礎が薄い日本人であっても、圧倒されてしまいます。読み込むうちに、「○○を探せ!」的な細かいイラスト探しもできそうです。

文明の開化についての文献は探し中。マンガ「世界の歴史」とかはどうだろう?学習の入門は教育漫画でもよいと、親野智可等さんも述べていたし。ただし6歳児には、文字が小さい、ルビが少ない、などの難しい点もあり。

【言語】

『五味太郎・言葉図鑑』全10巻、五味 太郎、偕成社 、1993、12600円

フルセットで紹介しましたが、1冊ずつ買えます。というより、図書館でぱらぱらとめくって、気に入ったものを借りて(もっと気に入ったら買って)みることをすすめます。眺めて楽しい、ナナメで新鮮な日本語論。よい・悪いや好き・嫌いを越えた、グレーゾーンの感情をくすぐります。大人の微妙な反応を見て、子どもも日本語の奥深さを学び取るでしょう、なんちゃって。

【算数・数学】

『はじめてであうすうがくの絵本セット』全3巻、安野 光雅、福音館書店、1993、5040円(!)

これは3冊セットのフルバージョンなのでお値段に驚きますが(私も値段にびびって新品が買えず、古本屋で1&2巻を見つけました)、1冊ずつでも買えます。またさらに、1章ずつのワンテーマ絵本もあります。まずは立ち読みか図書館をのぞいてみて下さい。「数学」の本質的概念を、日常的な題材から引き出すという、魔法のような素晴らしい絵本です。ただし、その道筋がはっきり示されているわけではなく、またその説明の模範解答もなく(この明確に言語化されていないところが非常によい)、親子で一緒にああだこうだと言いながら、何度も読みながら発見をくり返すのが、この絵本の正しい楽しみ方でありましょう。監修者は、水道方式などで有名な、かの遠山啓氏であります。これははっきりいってめっちゃスゴイです。

habaそろばん

(ボーネルンドでも似たものを発見。値段も同じくらい。)

いわゆる百玉そろばんなんですが、5個ずつ色が違うところポイント。インテリアとしても秀逸。これはモンテ以前に個人的に気に入って買いました。が、使用法についてはちょっと考え中。九九の説明にはいいかもしれない。が、その前の、20くらいまでの計算ツールとしてはいささか too much で適さないような気がしてきました。これはまだまだ要検討。算数の教具に似たものは作りやすいのですが、配慮が必要。また改めて記事にしたいと思います。

【自然科学系】

まだ検討中なのですが、テーマ別の「かがくのとも」傑作選絵本集が役に立ちそうかな?と。ワンテーマ絵本なのですが、ずらっと並んだバラエティーそのものが、子どものワクワクを刺激します。これを家で揃えるのは相当大変なので、図書館などの利用をすすめます。

【人文科学系】

人文科学というよりは、音楽・美術・体育などの分野を視野に入れたくくりなんですが、音楽&美術は「本物に触れる」ことを推奨したいです。コンサートや美術館に「行く」こと。体育では、とにかく外遊び。全身を使って、自分の身体の重さが負荷になるような活動をする。ちょっとずれますが、実際に図書館に「行く」ことも、その後の人生によい影響を与えると思います。身体感覚と読書は齋藤孝の力説するところ。

シュタイナー幼稚園ってこんな感じなんだ。2009/09/21 16:17

実は、モンテと並行してこんな本も読んでいたのだった。

『0歳から7歳までのシュタイナー教育』、堀内 節子 (著)、学習研究社 、2000

ざっと感想をば。

本書は、シュタイナー幼稚園経営25年というベテラン先生による、シュタイナーの入門書&実践書です。よく選ばれた言葉の語り口があたたかく、抵抗なくすんなりと読みやすいです。シュタイナー幼稚園の様子も細かく記録されていて、それがステキでした。特に、「日本の幼稚園でシュタイナー教育をする際に、年中行事をどう扱うか?」という考察は出色。ドイツと季節的に重なる部分も視野に入れつつ、日本独自の解釈を試みているところには感心しました。最後の、育児の悩みにお答えしますな章は、まぁ、シュタイナー系ならそう答えるだろうなぁ、という感じで、参考になるというよりは、フツーの育児との距離感をちょっとだけ感じたかも。逆に言えば、こうしなければ、という凝り固まった気持ちを脱出するきっかけになるかもしれません。

シュタイナーは、とりあえず、現在の私の問題意識からすると、のめり込むほどではないのですが(でもいつかもっと調べてしまうかも)、感じたことを一言で言えば「ヒーリング」です。最近流行のベビーマッサージの人は、シュタイナーの人智学およびシュタイナー教育のエッセンスを取り入れたら差別化が図れるんじゃないかと思ってみたなり。独自の癒し系楽器やらゲーテの色彩学やらアロマオイルなどを上手に身近に使っていました。

季節感の取り入れかたも、生活の中でぜひ真似したいです。最近、エルやジェイと一緒に出かけると、どんぐりや松ぼっくり、椿の実などをたっぷり拾って帰ります(ジェイのオムツ用ビニール袋が便利♪)。すすきの穂やえのころ草やサクラの枯れ枝などは花瓶に差して。小さな雑草のブーケは、トイレに(!)飾ります。季節のテーブルというほどではないけれど、子どもの見つけた季節の自然を素朴に飾るのは、なんとも楽しいものです。都市には都市の季節感があるものなんですね。そういう発見が子育ての楽しさの一つかも。