『二キーチン夫妻と七人の子ども』(本レビュー)2010/02/10 10:44

図書館で見つけたので、借りてきてみました。

クレヨンハウス系やカラフルな教具などで有名な二キーチン夫妻。体操能力と知力の結びつきやいかに?

一番大きな印象は、

夫妻が、失敗経験から、的確に学んでいく姿

でした。幼児教育では成功体験を語るほうが圧倒的に多いのですが(社会的にも望ましいし、子育てはやり直しや統制実験が不可能なので、そうならざるを得ない部分も多いからだと思います)、なんといっても、7人もが次々に育っていくわけで、一人から得た経験を、その下の子どもに生かしていくという合理性は、うらやましくもあります。

充実した運動設備や教具なども、それ自体が魅力的で目を引くものでしたが、

子どもが必要とするものを見極め、形にしていくニキーチン氏のまなざし

は何よりすばらしいものでした。形になったそのもの自体は、彼にとっては愛情と情熱の副産物であって(もちろんさまざまな工夫が凝らされており、子どもの反応を引き出しやすいものになっていますが)、その道具を利用して、子ども自身が環境に働きかけていったり、子ども同士が触れ合ったりする行動をよく見つめることが、彼の興味の中心だったのではないかと思います。そのまなざしを感じ取って暮らしていける子どもたちは、本当に幸せですね。もちろん、彼の工夫を利用できる私たちも(^ー^)

また、繰り返し言及されているのは、互いに思いやることや、働くことの意味などです。教育の基礎にある、生活上の価値観について、改めて考えさせられました。改めて気づかないと忘れられがちである、という点では、ニキーチン夫妻も現代の私たちも同じですね。

早期からの体育教育についても詳しく書かれていて、この点だけを真似することもできそうではありますが、夫妻の意図はそこにあるのではなく、あくまでも、自分たちがどのように試行錯誤して子育て期間をすごして来たのか、(失敗体験を含めて)正直かつ率直に語った、めったに得られない貴重な記録だと思いました。


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