『季節性うつ病』を読みました。2013/06/03 12:00

「季節性うつ病」、講談社現代新書、1992/05、
ノーマン・E. ローゼンタール (著), Norman E. Rosenthal (原著), 太田 龍朗 (翻訳)

のまとめです。

●第1部 季節シンドローム(SADと光治療―その発見もしくは再発見

・第1章 SADと光治療:その発見もしくは再発見

SADに対する光治療の初めてのコントロールスタディ(科学的な条件下での検証)が行われるまでのいきさつ。筆者自身や科学者にもSADをもつ人たちがいた。

・第2章 SAD―その臨床像

典型的なSAD患者4人についての記述。

・第3章 あなたも季節の影響を受けているか

季節性の程度を評価するための質問紙など。SADと準SADを区別する目安も。

医療的な援助を求めた方がよい場合は
1.自分の機能が大幅に損なわれている場合。たとえば、仕事上にまで及び、以下の問題を含んでいる場合。
・以前ならやれたことがうまく処理できない
・決められた時間どおり仕事につけない
・考えたり、集中したりする力が明らかに落ちてしまっている。
私的な生活においても「ほっといてほしい」「他人とつき合いたくない」と思う。また、支払いが滞ったり、家事が遅れたりする。
2.強い抑うつ感を感じた場合。これは以下のことを含んでいる。
・しょっちゅう悲しく、泣けてきてしまう。
・自分の生活が無価値に思えたり、朝起きたくないと思う。
・自分について否定的な見方をする。自分が駄目なやつで、役立たずで、信用のできない、ペテン師だと思える。こういった見方は他の季節には見られない。
・罪悪感をしばしば感じる。
・将来について悲観的に考える。
3.冬の間、身体的機能が著しく障害される。たとえば以下のようである。
・普段よりも睡眠時間が数時間延長したり、朝の起床が困難になる。
・一日のうち、ほとんどを横になって過ごしたいと思う。
・自分の食行動や体重のコントロールができない。

また、季節的な変化に加えて、天候の変化に強く反応する人もいる。

第4章 SADの人とSADの子を持つ親のためのマニュアル

SADの症状を引き起こす3つの主な要素
・体質的に持つ環境要素に対する脆弱性
・光の減少
・ストレス

女性に多く、年齢は20代から40代が多い。
多くのSAD患者はうつ病歴のある近親者を持っている。

SADの症状としては、冬にエネルギー水準の低下が起こる。行動に抑制がかかる。

食事量が増え、炭水化物を多く含んだ甘い物などを摂るようになる。炭水化物を食べるとエネルギーが出ると感じる。

食事の質と量が変化し、活動性が低下することから、体重が増加する。

睡眠時間は長くなるが、朝起きにくくなる。睡眠は細切れで質が良くない。

明快に、迅速に考えることができない。仕事や日常生活に必要な情報や知識を思い起こすことがかなり困難になる。SADの人は、注意の集中や情報処理能力が、季節によって違ってしまう。

SADの女性患者のうち少なくとも半分の人は、月経前緊張症を持っている。冬になるともっともひどくなる。

SADに類似した状態に、甲状腺異常、低血糖、慢性ウイルス疾患などがある。

SADの成人患者のうち3分の1はかなり小さいときから症状があると述べている。子どものSADは、起床困難、学業の達成の困難、いらいらを訴える例が多い。一般的な兆候は
・疲労感
・むら気、いらいら
・かんしゃく
・落第
・今までならたいした問題でもなかったようなことが果たせなくなる
・はっきりしない身体症状、たとえば頭痛、腹痛
・甘い物を盛んにほしがるようになる

注意欠陥障害は一見SADと似ているように見えるが、季節性の問題がない限りSADではない。

夏になると躁状態となるSAD患者もいる。

SADの軽症の人で、冬のゆううつ(準SAD)を経験する人がたくさいんいる。いずれにせよ、光治療が有効である。

第5章「夏型のSAD」とその他の季節性を伴う問題

夏型のSADは、食事量が減り、体重が減少する。焦燥感が強い。

季節性のうつ病にかかりやすい人は、環境の変化に適切に対応する能力に障害があるのではないかと考えられる。

季節は一般の人の行動にも影響を及ぼしている。

●第2部 治療
第6章 光治療―鍵と鍵穴
第7章 光治療以外の治療法
第8章 精神療法とSAD

このへんは医療的内容も含んでいるので抜粋を避けます。本書に当たってみて下さい。

第9章 どうしてあげられるか?―家族や友人へのアドバイス

なすべきこと
・問題を理解してあげる
・ただついていてあげる
・SADの人を元気づける(今の状態は一時的なものであると言ってあげる)
・簡単なことで援助する
・SADの患者が他の病相にあるときも理解しようと努める

してはいけないこと
・判定したり、批判したりしてはいけない
・SADの人のひきこもりを自分に向けられたものと取ってはいけない
・SADの人を改善させるのが自分の責任であると考えてはいけない

第10章 SADについての研究の現状
終章 現代の季節性の芸術家たち

は割愛。

ざっくり抜粋してみました。

自分の実感としては、季節性のうつは、最低限の生活はなんとか維持していけるけれど、余分なエネルギーが一切無い、認知症が始まったのではないか?と感じるくらい頭が働かない、ただひたすら甘いものを食べて横になっていたい、という感じでした。

梅雨時に再発しないといいんだけれど…今のところまだ大丈夫。
気分底上げ用?に薬も飲んでいるしね。少しずつ減量しているところですが、少量はしばらく飲み続けることになりそうです。
そう考えると、まだ本調子ではないんだなぁ。

去年調子が悪くなった夏休み、今年もなんとか乗り切らないと。
ジェイも年長になったし、だんなさんにもヘルプを出したし、去年よりは楽になりそうです。

備えあれば憂いなし、ですね。

コメント

_ にっしー ― 2013/06/03 13:30

「備えあれば憂い無し」

いいですねー。

実は、この5月、夫が職場の異動で調子悪くなり、軽ウツまで行きました。薬飲みながら、休職は何とかせずに済んだ感じです。

結構、自分って「ウツのプロ」って思ってた所があったので、久しぶりの家族の症状に「あれ?ウツって何だったっけ?」と、基本を勉強し直しましました。

何でも、基本を洗ってみるのは大事だよね。それを踏まえて、周囲にヘルプを出すのは、もっと大事ですね。

_ ゆずしお ― 2013/06/03 16:51

夏の躁状態とか、まさに私のことじゃないですか!
ここ数年夏場にがむしゃらに動いて(元々夏は月のものが1ヶ月とんでしまうくらい弱いはずなのに…)秋の訪れとともにダウンしていくのを繰り返していることを実感。
医師には双極Ⅱ型の疑い濃厚と言われていますが、こっちの可能性も捨てきれないです。
う~ん…私も季節性うつのお勉強をしてみます。

ジェイちゃんも大きくなったのですね。
娘はママスキーと親離れを同時進行しますから、今のうちに「ママじゃなきゃイヤ!」を堪能してください。
子ども可愛がり貯金は必ずや反抗期に利子をつけて戻ってきますよ。

_ いづみ ― 2013/06/29 15:42

>にっしーさん

そうそう、ヘルプを出すタイミングって難しいですよね。
つい考えすぎてしまう。

>ゆずしおさん

夏に活動的になるんですね、それはまさに季節性の可能性アリ。
体調記録などつけてみてくださいな。

エルもジェイも、すり寄ってきたときにはだっこしてあげるようにしています。読み聞かせとだっこは、自分が子どもの時にしてもらいたかった分を、子どもにしてあげているような気がします。

_ バンバン ― 2013/08/24 21:25

初めまして。63歳の男性です。若いころから梅雨時期になると交通事故とか起こしたり、仕事で失敗したり、スランプに陥っています。5月、6月から始まり早いと一ヶ月くらいで終わり正常になってました。最近は三ヶ月くらい続きます。今年は6月に始まりまだ治りません。頭がボォーと重くて、仕事がやる気がなくなり、朝起きるのが辛い。人と話すのがおっくうに。考えたら若いころから梅雨時期からスランプ、軽いうつ病になっていたと分かってきました。スランプの記録は残しています。15年間くらいでしょうか。この時期が過ぎると正常になり元気になります。薬はうつ病などの薬は飲まずに精神科には過去に一度しか行きません。コレステロールの薬は飲んでいます。季節性のうつ病は聞いてましたが、梅雨から夏のうつ病はまだ聞き始まりです。読んでいただき参考になればと思いました。またよろしくお願いいたします。

_ いづみ ― 2013/09/22 10:24

>バンバンさん
梅雨時の不調というのもあるのですね。
初めて知りました。ありがとうございます。

だんだん秋になってきましたが、調子はいかがでしょうか。
冬の間は特に不調ということもないのですね。
はやく調子が戻るといいですね。お祈りしております。

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