豆を煮るということ2009/02/25 15:06

今年のお正月の黒豆は快挙だったのですけれど、先日(2009年2月24日付朝日新聞の朝刊、生活面)の新聞に黒豆の記事が出ていました。もともとは土井勝さんが1978年(!)12月27日の家庭欄で「黒豆の煮方」として紹介したレシピについてなんですが、これがふっくら煮えておいしいと今でもじわじわ評判なんだそうです。

実は私が愛用しているレシピもこれです。オリジナルを転記します。

「黒豆の煮方」
【材料】黒豆300グラム、砂糖250グラム、塩小さじ1~2、しょうゆ50cc、重曹小さじ2分の1(なくてもよい)、5,6センチのさびたクギ約10本(なければ市販の卵形の鉄塊)
1.黒豆をきれいに洗い、ざるにあげる。
2.クギをざっと洗い、さらしやガーゼで作った袋に入れて、口をくくる。
3.厚手の大なべに水10カップを入れ、煮立ったら、砂糖、塩、しょうゆ、重曹、クギ袋を入れて火を止め、黒豆を加えてそのまま4,5時間つけておく。
4.鍋を中火にかけ、煮立ったらアクをすくいとり、さし水100ccを加える。すぐに再び煮立つので、もう一度さし水100ccを入れ、アクを取る。
5.落としぶたをし、さらになべのふたをし、ふきこぼれないよう、ごく弱火で7,8時間煮る。この間、ふたはあけない。
6.豆がふっくらとし、煮汁がひたひたぐらいになったら火を止める。落としぶたとなべのふたをし、クギも入れたまま、煮汁につけて一昼夜おき、味を十分ふくませる。

これについていたという、土井勝さんのコメントも味わい深いです。

「豆は、昔から『だましだまし煮る』といわれるように、調味料のふくませ方がむずかしい。そのためプロは、ちょっと煮汁を煮つめては火を止め、豆を戻しては味を含ませて、また煮つめ、と何度か繰り返します。が、そんなめんどうは、とても家庭に向かない。何か別の方法はと、毎年試して、そう十五年がかりで、この煮方にたどりつきました。」

そう、私も結婚以来10年がかりで、このレシピの要点をなんとか会得いたしました(たぶん)。

今年の記事では、(土井勝さんはすでになくなられているので)奥様である土井信子さんがこの煮方を再現して、次のようなポイントを挙げています。後から調味料を足さないので、きっちり量っておくこと。煮始めたら、火加減はごく弱火。煮あがるまで決してふたをとらないこと(空気が入って硬くなる)。煮え加減は、一粒を縦にして、親指と人さし指ではさんでみる。豆が座布団に座るように弾力があったらオーケー。ぴゅんと飛び出してしまうようだったら、まだ硬い。

さて、私はこのレシピに従いつつ、圧力鍋で煮ています。いづみ流平成のお気楽版黒豆レシピは以下の通りであります。

「圧力鍋で黒豆」
【材料】黒豆300グラム、砂糖250グラム、塩小さじ1~2(1だとスッキリ、2だとしっかり味、にがりの多い天然塩なら2くらい入れても平気!)、しょうゆ50cc、重曹小さじ2分の1(なくてもよい)
1.黒豆をざるに入れて、流水の下で、手を泡立て器のようにして10回くらいぐるぐると回して洗い、水気を切っておく。
2.圧力鍋に水8カップを入れ(水は豆の約4倍が圧力鍋での基本)、煮立ったら、砂糖、塩、しょうゆ、重曹を入れて、お玉でぐるぐるとよくかき回して溶かしてから火を止める。黒豆を加えてふたをして、そのまま1晩つけておく。
3.鍋を弱めの中火にかけ、煮立ったらアクをすくいとる。
4.圧力鍋に付属している蒸し器を落としぶた代わりに乗せ(本物の落としぶたとか、軽い皿とか、一度くしゃっとしてから丸く拡げたアルミホイルとかでもいいかも。※クッキングペーパーなどの紙ぶたは、ふたに貼りついて蒸気弁をふさぐ可能性があるそうなので、圧力鍋ではやめておきましょう)、ふたをきっちりと閉めて、弱めの中火にかける。蒸気が出たら、蒸気が少しずつ出る程度のごく弱火にして5分(@ティファールのクリプソ6.5リットル。鍋によって違うかも。添付マニュアルの豆を煮るページを熟読すべし。ポイントとしては、加圧は少~し短めにしておいて、あとから足して煮るとゆですぎが防げます)加圧。火を止めたらそのまま放置。
5.自然に圧が抜けたらふたを開け、落としぶたはそのままで、豆がふっくらとするまで(指先ではさんでみてつぶれるくらい、またはお好みの硬さまで)弱火で煮る。
6.煮汁につけたまま一昼夜おき、味を十分ふくませる。
7.煮汁が多い場合は、豆を取り出して、汁だけ煮つめてから、再度豆を戻す。

この時期になると、またなんとなく、おもちとか、黒豆とか、食べたくなるのですよね~。小豆も煮たい、が、先に冷凍庫に保存用スペースを作らねば(^-^;

豆ってすごいと思うのです。環境負荷の低い良質なたんぱく質で、保存もきく上に、料理のレパートリーも広い。ざっと豆1:穀物2、の割合で食べていれば栄養バランスもそこそこよいらしく(離乳食のすすまないエルに、豆乳飲ませて/豆腐食べさせてこれでOK!と何度思ったことか(笑))、世界中の家庭料理にはこういうものが多いそうです。地味なれど、あなどりがたし、豆。

辰巳芳子さんの大豆100粒運動についても書きたかったのですが、また今度。

余談ですが、新聞記事を写す、というのは勉強になりました。助詞、送りがな、漢字/かなの選び方、句読点のリズム、などなど。ジェイが幼稚園に行くようになったら、明治~大正あたりの日本文学を、当時の仮名づかいで読んでみたいと思っていましたが、写すのも楽しいかも。