認知負荷を軽くする、ということ。2009/10/10 15:10

リズム九九の記事にちらっと書いたのですが、「認知負荷を軽くする」ことが学びでは重要、というのは、実は私の中ではかなりコアなアイディアなのです。端的に言えば、「物事からその本質を抜き出す」ということになるでしょうか。

エルは不安感が強く、いろんなものに拒否反応を示す乳幼児でした(今はごくフツーの幼稚園年長さん)。1才までベビーカーは絶対拒否&おんぶで昼寝しても、床に降ろすと泣く。2才まではしばしばおんぶ、3才までは公園に他の子どもがいると私から離れない、典型的なママべったりのお子ちゃまでした。

私が(半ばあきらめつつ)思ったことは、

「まぁ…とことんまでつきあおうじゃないか!」

ということ。不安の反面、物事を見抜く目はなかなか鋭かったので、とにかく不安を取り除いて安心さえさせれば、この子はあとは一人で学んでいくに違いないという確信がありました。

というわけで、早期教育系および習い事は全て不可能(笑)エルの場合に限って言えば、これがかえって幸いしたのではないかと、今ではなんとなく思います。

具体的に工夫したことは、

・まずは、食事。できる限りまともなものを食べさせる。

→凝ったものや高級な物ではなく、ゆでたての野菜とか、焼きたての新鮮な魚とか、なるべくそのままの味を。「だしをとる」「豆を煮る」というのも、私の密かなライフワーク。

・着心地がよく、手入れが楽で、汚しても惜しくないものを着せる。

→コンビミニや、プチバトーや、クオーレ・アモーレなどの、綿100%ニット類を愛用。基本はTシャツにスパッツ。上に着るものより、肌に直接触れる、下着にお金をかけていたかもしれない。私自身もほぼ同じ主義のワードローブだったりします。

・よく知っていて、予想ができる環境を整えてあげる。

物の位置を変えないとか、お風呂などの手順の順番を変えない、など。生活ペースもなるべく乱さないように、遅くなるお出かけなどはなるべく控えていました。外出も、同じ公園に何度も通いました。

→生活の流れが「背景」となって、意識しなくてすむような、リラックスした状況下で、もっともよく吸収できると思ったからです。

・初めて触れるものは、慣れるまでは、何も言わずにあれこれ試させる。

たとえば、スプーンを使わせようと思ったら、最初の日は、目の届くところで好きに持たせる。2日目は、私が使う様子をよーく見せる。3日目になって初めて、折を見て、そーっと右手で正しく持たせる、というような感じ。しばらくの間は、目の届く範囲で使わせ、私のやり方を見せるが、正しい使い方は強制しない。ストロー、はさみ、はし、鉛筆なども、こんな感じでした。

→周囲の大人は「見かけが正しく」使えているかを気にしますが、まずは、本人が新しい環境に対して、どのように働きかけるかを観察することが何より大切だと思ったからです。もし、不適切な行動を引き出すような道具であれば、その点を改善した道具に替える、など。最もシンプルな物がよい効果をあげることが多いです。道具が適切な物であれば、その物が持つ可能性を十分に試した後は、スムーズに「最も便利な(=正しい)」使い方をするようになります。道具と子どもの潜在的な力を信じることは、モンテにも通じる点があるかもしれない。道具は身体性の延長である、ということについてはまた後日。

・絵本は、同じ本をくり返すか、同じキャラクターが出てくる物を選ぶ。

エルは寝る前に必ず、同じ本を繰り返し読んでもらいたがる子でした。図書館通いはせず、私がこれぞと思う絵本を各種購入(読むのは私だからね~)。もし本人が気に入らなければ読まない。エルが指定すれば、2週間でもそれ以上でも同じ本を読み続ける。「おひさま」という読み聞かせ雑誌を毎月始めに、エルに500円玉を持たせて買いに行きました。キャラクターは同じでも、季節感がタイムリーに変わっていくのでオススメ。DVDやテレビ番組も、なるべく同じ感じの物にしていました(デイズニーやピクサーの長編ものは常に拒否されていました(^-^; ので、アンパンマンか、NHK教育の子ども時間帯)。

もう少し大きくなってからは、

・新しい環境には、あらかじめ、予想や見通しとなるような情報を与える。

→なんとなく自分にもできそうだ、と感じるような見通しやイメージは、ムダな不安を抑え、なにかと役に立ちます。

・事物を位置づけるときには、まず3つくらいのカテゴリーに分ける。

→そして、エルが出してきた例を、そのカテゴリーにどんどん当てはめていく。当てはまらない場合は、どうして例外となるのかについての説明をする。カテゴライズの視点そのものが、事物の基本的性質を反映しているから。

・手作りするところを見せる、また、一緒に生活の役に立つものを作る。

→手作りするという作業の中に、その物の本質や、人間の知恵が隠れているはず。

・時には、私自身がもつ、正直な評価を含むコメントを伝える。

→いろいろな考え方の人がいるという、社会の入り口。

などです。なんだか散漫な箇条書きですが、まぁときどきこんなことを思い出しながら(よく忘れてるんですが(^-^;)、子どもへの働きかけを考えます。余裕がないときはテキトーに、その時なりに、です。親だって、人間だもの(笑)案外、危機管理みたいなところを子どもはよーく見ていたりするんですけどね。コワっ(^-^;

さてさて、ジェイなんですが、全然別のタイプ。明るくて身体をよく動かし、宇宙語でいっぱいしゃべります。始終ゴキゲンで、小さいときから託児もわりとOK。同居の祖父母にとっても「わかりやすい」子どもみたいです。

エルが世の中を開拓したとすれば、ジェイはその恩恵にあずかりつつ被害も被るという感じ(笑)事物の命名などはエルよりずっと早いです。子どもは子どもから最も多くを学びますね。久保田さんのいう「ミラーニューロン」はこんな感じなのかなぁと観察しています。

しかし、扱いやすいからと言って、そのまますんなりと(エルを含めた)大人の世界に入れてしまわないようにしよう、と感じます。見聞きしてまねて盗むという効率性(また、最初から「正しく」教える効率性)は、新しい機能や本質を「自分で発見」する経験と、トレードオフなのかもしれないからです。「本物を、自分で、直接経験する」ことを、エルよりさらに、よく考えなければいけないなぁと思っています。

親の仕事って、無限にあるんですねぇ(笑)でも、自分が本当に納得できるものを選択し、できる範囲でやれば、それが一番いいんじゃないかという気がします(^ー^) 長期戦こそ、ぼちぼちと~。


↓リンクは正しかったようです。イマイチwiki記法を使いこなしていない(^-^; 現在ランキング40位あたりをうろうろしてます。こういうしかけもおもしろいですね!

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